野球肘の解決法
毎日ある特定のスポーツを行い続けることで発症しやすい関節障害を、そのスポーツの名前を取って病名にしているものが少なくありません。「野球肘」もその1つ。特に子供の場合まだ成長期の柔らかい骨である為、大人の固い骨と違って間違った使い方をしたり酷使したりすることによって簡単に痛んでしまいます。野球少年の場合、何度も力いっぱい投球を繰り返すことで肘に負荷がかかり、傷めてしまうのです。
このような野球肘には「内側型」と「外側型」とがあり、それぞれに痛みを引き起こしている部位や治療法が異なります。まず「内側型」ですが、これは肘の内側の骨につく筋や腱がタイトネス、つまり柔軟性がなくなることで衝撃の緩和力が落ちることで起こっています。これはストレッチ不足や投球時のフォームの異常によって起こっているため、これらを改善することで痛みもとれていくことが殆どであるため、それ程深刻なものではありません。
一方、「外側型」は「離断性骨軟骨炎」とも呼ばれるもので、投球時に肘の関節同士がぶつかり合うことで軟骨が損傷してしまっている状態です。離断性骨軟骨炎の初期は軟骨が壊死しかけている状態で、投球時にのみ痛みを感じますが、中期になると軟骨に亀裂が入り、肘の曲げ伸ばしが困難になり、更に末期になると軟骨が剥がれ落ち、肘が動かなくなったり激しい肘の痛みが出たりします。
このタイプは小学生の時期に発症しやすく、スポーツ選手を目指しているのであれば今後の選手生命にも関わる重大な事態ですから、早めの処置が必要になります。
内側型の場合、前述の通りそれ程重篤な自体ではありませんから、治療も手術を要するようなものではありません。まずは筋や腱の炎症を抑える治療を行います。
基本的にはしばらく投球など炎症を悪化させる動作を中止し安静にしておくことですが、炎症がひどい場合には内服薬や外用薬を使用することもあります。ある程度炎症が落ち着いたなら、並行してリハビリに入りますが、このリハビリによって関節の機能に改善が見られるようになれば、少しずつ様子を見ながら投球を開始することになります。
野球少年のひじの痛みがなくなった後のリハビリ
投球時や投球中に起こる肘の痛みは、使い過ぎか間違った投球フォームによって引き起こされる肘関節の炎症や軟骨の損傷が原因です。別名「野球肘」とも呼ばれますが、その痛みを与えている原因や進行度によって治療法にも違いが出てきます。
野球肘の治療では、基本的には手術を行うことはありません。肘関節の炎症が原因であれば、保存療法、つまりしばらく投球動作を中止することで回復していくからです。
手術が必要になるのは、肘関節の軟骨が投球動作の衝撃によって削れて剥離し安静にしていても自然治癒の見込みはないと判断された場合や、剥離した軟骨の破片が関節内を動き回る「関節ネズミ」と呼ばれる症状になっている場合、あるいは肘の靭帯が衝撃に耐え切れず断裂などの損傷をおこしている場合です。
保存療法がとられる場合であっても手術が必要な場合であっても、ある程度回復した頃からリハビリ治療に入ることになります。リハビリの主な内容はストレッチで、医師の指導の元に肘、および投球の際に動かす肩や手首、手先まで関係する全ての筋肉をしっかり伸ばしていきます
。また体全体を慣らしていくため軽いウォーキングや筋トレも行うことになります。可能な範囲にまで回復したなら投球練習も始まりますが、このときもまだ全力投球はできません。投球前後のウォーミングアップやクールダウンも大切なメニューの1つです。また同時に栄養士や医師の指示の元に食事による栄養トレーニングも並行して行われることになります。
投球練習はリハビリ開始から1ヶ月程度で始めることができますが、100%の全力投球が可能になるまでにはもう少し辛抱しなければなりません。野球肘の症状や進行程度、手術の内容などによって違いますが、完治までには3ヶ月ほどかかるとされています。
また投球フォームが問題で野球肘を発症した場合には、投球フォームの修正もリハビリのうちに入ります。フォームをしっかり修正せずに再び復帰してもまた同じことの繰り返しになってしまうため、これは必須と言えるでしょう。
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